添付 資料 3
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平成28年度 動物愛護推進協議会の要望書



平成28年 2月 5日


宮城県知事 村井嘉浩 殿

動物愛護団体アニマルピース

犬猫の多頭飼育の届出に関する要望書


<要望内容>
動物の愛護及び管理に関する法律第9条に基づき、動物の悪臭や鳴き声等により社会問題を引き起こし、また、劣悪な飼育環境での虐待の要因となっている多頭飼育を防止するため、犬及び猫の飼い主に対して一定の飼養数を超えた場合、氏名及び住所、飼養施設の設置場所、飼養数等を県に届け出ることを義務化する宮城県動物愛護管理条例の制定を要望します。


<理由>
 全国の自治体で、犬や猫等の多頭飼育の弊害により、動物愛護団体や住民、行政等関係機関がその対応に追われる事態が続いています。無理な多頭飼育はいずれ崩壊し、劣悪な環境下で飼育されていた犬猫たちを動物愛護団体が引取らざるを得なかった事例を過去においても数多く経験してきました。
本県でも亘理町での多頭飼育の崩壊で、行き場のなくなった動物たちを行政機関等との連携により、私たち愛護団体が引取ることで殺処分を回避できた事例がありました。しかしながら、一度に多くの動物を引き取ることは、私たち動物愛護団体や行政等関係者にとって非常に大きな負担となるばかりか、場合によっては、引き取りができずに殺処分せざるを得ない事態も起こり得ます。
こうした事態は、動物愛護法の理念を逸脱し、動物愛護団体や行政機関の問題だけに留まらず、殺処分をすることで多くの県民の動物愛護感情を傷つけることにもなります。

保健所職員の方のお話では、各管内に少なくとも1か所以上の多頭飼育が存在する可能性があるとのことです。最初は少数であったのが、手がつけられないまでに頭数が増えて行く実態が存在するようです。
このように多頭飼育が原因で悪臭や鳴き声による周囲からの苦情や、劣悪な飼育環境での虐待など、動物と人間が共存できずに社会問題化している現状に私たちは、真摯に取り組まなければならないと思います。

動物愛護管理法には「人と動物とが共生する社会を形成するためには、動物の命を尊重する考え方及び態度を確立することと併せて、動物の鳴き声、糞尿等による迷惑の防止を含め、動物が人の生命、身体又は財産を侵害することのないよう適切に管理される必要がある。」とされています。これらのことを踏まえ、条例の制定を要望するものであります。


≪参考資料≫            
国内においては、埼玉県、茨城県、山梨県、長野県、滋賀県、佐賀県が動物愛護管理条例の中で多頭飼育の届出制を既に定めております。
届出対象となる数や動物については各県によって差はあるものの、環境省が地方公共団体に対して行った助言(環自総発第1305101号)の中では、「多数の動物の飼養又は保管とは、現行とその対象が変わるものではないが、例えば犬又は猫の飼養にあっては、概ね10頭以上の飼養又は保管については、多数の動物の飼養又は保管に当たる。なお、集合住宅内での飼養などの飼養環境により、より少ない頭数であっても、多数とみなされる場合がある。」という基準が示されています。
また、届出制度の実効性を確保するためには、多頭飼育届出制に違反した者に対して、既条例令制定自治体が制定しているように行政罰として5万円以下の過料を設けているようです。

多頭飼育は、犬の場合は鳴き声等で周囲の住民が把握することが多い一方、室内飼養の猫の場合は分かりにくいケースがあり、飼い主の死亡や失踪等で初めて判明することもあります。
また、多頭飼育が崩壊する現場では、狂犬病予防接種や登録を怠ったり、犬、猫共に、繁殖制限や健康管理等が為されていない場合が非常に多いことも明らかになっています。
 多頭飼育の届出制を定めることにより、飼い主の適正飼養数を超えた多頭飼育を抑止し、多頭飼育崩壊を予防する効果が期待できます。さらに、犬については全頭登録、全頭の狂犬病予防接種を促し、犬猫共に、繁殖制限(不妊去勢手術の実施)や適正飼養の指導をすることがよりスムーズになると考えられ、人の生活環境と同時に動物の安全や健康が担保されることとなります。
また、震災等の災害時に、多頭飼育の所在地や犬猫の頭数を把握することにより、犬猫の救護についても的確で効率的な対策を行うことができると考えられます。犬猫を救うことは、その飼い主を救うことになるからです。

そこで、あらかじめ届出制度を設けておくことによって、ボランティアや行政(市町含む)の負担も軽減され、また連携して多数の犬猫の安否確認や救護を手伝うことも可能になると思われます。
 なお、全国で広がりを見せている「地域猫」については、多頭飼育の届出制の趣旨・目的及び動物愛護の観点から、除外 とすべきと考えます。

(地球生物会議ALIVEより一部を引用)